専門学校 千葉県自動車総合大学校の1級自動車整備科では4年生になると特別研究という実習があります。この実習では各々が、テーマを決めて研究・実験を行っています。その中でもEV自動車の研究は、歴代1級整備科全員で取り組んでいるテーマです。1期生は走れる車両にコンバートし、2期生はフェスティバル車両規定に基づき車両製作そして初参戦11位、3期生はバッテリ倍増、サスペンション等に改良を加えて臨んだ結果、総合2位、そして、今年度このバトンを受け取った4期生の工夫と改良を紹介します。

まず、取り組んだのが車両の軽量化です。まず、エンジン車の頃のメイン・ハーネスから、使用しない配線を抜き取りました(約-3kg)。そして、リヤのサイド・ウインドのアクリル化にトライしてみました。この作業はガラスの曲面を出すのが難しく、アクリルに熱を入れ左右のガラスでうまく挟み冷却していきますが、形が安定するまで気が抜けず、何回か挑戦しました。初めてにしては上出来かな?(約-3kg)。車内のエアコン・ブロアユニット等の取り外し(約-5kg)。などによる軽量化で約10kg、しかし、車両はカッコイイ方がいいのでRスポイラーを取り付けちゃいました(約+1.6kg)。

そして今度は、メータの取り付け位置です。やはり、運転するのは、サーキット初めての学生がほとんどです。どうしても運転に集中するのが精一杯でメータに目をやる余裕がなかなかできません。
そこで、できるだけ目線の移動が少なくて済む位置へ取り付け直しました。

そして、この車両を今年から5月5日に開催されたDAIHATSU EXCITING EV RACE 2007のEV30分耐久レース×2ヒートに投入しました。結果は1ヒート・第2位、2ヒート目はリタイヤとなりました。リタイヤの原因はモータの焼きつきでした。このレースで車両の挙動が分かり、熱対策など新たな課題が生まれ、11月3日のフェスティバルに向けて、新たに始動しました。

〈モータの熱対策〉

  1. モータ上部にファンを取り付け低速の走行風が弱い時やPit停止時にも冷却を可能にしました。
  2. フロント・バンパーからモータに走行風ができるだけ当たるように風の取り入れ口の増加。
  3. モータを支えるブラケット、これに穴を開けモータに直接風が当たるように加工。
  4. モータフィン取り付け。(雑誌等で取り上げられた)
  5. モータに温度計を取り付け温度管理ができるようにしました。

〈その他の対策〉

学生達が「タイヤがよれる」なんて生意気なことを言い、「タイヤとホイールを変えたらもう優勝間違いなし」まで言うので仕方なく、交換しました。これがまた、カッコイイったらありゃしない。
車両の最終チェックとルールの確認、目標周回ラップのイメージ、ドライバーチェンジ等の練習をし、5月の走行経験を武器に大会に臨みました。





フェスティバル当日、参加も3回目となると、慣れたもので、車両検査など問題なく合格しました。そして、いよいよ我々の出場する「1時間ディスタンスチャレンジ」の時間になり、スターティング・グリッドまでマシンを押していきます。スタートドライバーは、村越先生が勤めます。変則ニュルブルクリンク24耐方式(3グループが15秒ごとにスタート)でスタートしました。


 ラップタイムを見ると、学校でシュミレーションした予定タイムで走ることができました。そして、その後は2分13秒の(申告タイム)ぴたり賞を狙いながら、ドライバーチェンジを繰り返しました。今回もほとんどの1級4期生は、初めての筑波サーキット2000を走行しましたが、自分の担当する3周を安定したペースでバッテリの消費を抑えて、うまく運転し次のドライバーへとマシンをつないでいきました。最後(6番手アンカー)は、学生間の満場一致で決定した4期生唯一、レース経験者である山本君が、弱くなってきたバッテリで残り19分間を任され、期待通り8周走行し無事チェッカーフラッグをうけ、総合2位の結果を得ることができました。





今回のEVフェスティバルでは、ドライバーからマシンの改良、メンテナンスなど活躍してくれました。また、次回フェスティバルの主役になる1級5期生たちのサポートのおかげでドライバーたちはレースに集中できたと思います。そんなみんなの力が結集されて今回の総合2位の結果を得ることが出来ました。
1級整備科の全員が同じ目標を持って、自分の与えられた役目を果たし、頑張った結果だと思います。レース後の緊張感から開放された学生達は充実感があふれているように見えました。一生懸命にやったことが形になって本当によかったと思いました。   

レポートby 1級整備科 杉 健一郎